あけおめ!
あけましておめでとうございます!! 今年もよろしくお願いします!!
「もういくつ寝るとぉ!? 否!! 本日!! お年玉ぁ!!!!」
こちらはお金をもらう気満々の成人男性、武士!! こいつのこともよろしくな!!!!
そんでその齢で簡単にお年玉がもらえると思うなよ。お金ってのは基本対価として発生するものだ。本気でお年玉がほしいなら、金額分私を満足させてみろ。
「これは某の父が花魁に沼った時のこと……」
それは昨晩聞いたんだよ! めちゃくちゃおもしろかったです! あと仮にも武士が沼るとか言うな。
「では別の話をしようか……。これは某の母が歌舞伎役者に沼った時のこと」
お前の家族、欲に弱すぎない? もし江戸時代にパチンコとかそういうギャンブルがあったら、お前の家持ち崩してそう。
「ぎゃんぶる……。おお、賭博のことか。あったぞ。双六や賭けをしての碁のことだろ?」
あ、あったんだ。まあそれもそうか、丁半とか聞いたことあるし。でも富くじがメインじゃなかった?
「めいんどころか、将軍様は富くじしか許しておらんかったぞ。あとの賭博は罪であるとされておったのだ」
へー、そうなんだ。なんで?
「帯刀しておる者もおるからな。勢い余って相手を殺めたりなど起こらぬよう、取り計らっておられたのだ。まあ、そうは言っても表向きだがな。民草の間では非常に流行っておった」
こういうのは禁止されてもやっちゃうもんだからねぇ。
ちなみにお前の父ちゃん、双六のほうは?
「やっておったな」
やっぱりか。
「その上一度捕まっておる」
致命的じゃない!? 武家だろ!!?
「それがうまいこと乗り切ったのだ。役人の前にて秘伝の〝尻から鼻まで花咲かせ音頭〟を披露したお陰で……」
待って待ってなにそれ尻から鼻まで花咲かせ音頭!!!????
「お年玉を頂戴できるならここで披露しよう」
あげるよ、そんなん! あけましておめでとう!!
――時代が流れるとともに失われた文化も多々ある。〝尻から鼻まで花咲かせ音頭〟もまさに、そのひとつであった。




