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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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まったり年越し

 今年も一年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。


「ことにあやしく思うのだが……」


 はい、なんでしょう。


「本日と明日。たった一日違うだけなのに、この心の変わりようはいかがしたことぞ」


 そらお前、節目ってそういうもんよ。境界線。向こう側とこちら側。今年と来年。たった一歩で全然違う世界が広がるんだ。


「なるほど。その割には最近やっと2024年に慣れたのに」


 うん、最近の我々はそうだよね。今年に慣れた頃に来年になる。私の心も2024年から動く気配ないわ。


「全然違う世界が広がるのではなかったか?」


 時間の流れに体が追いつかないんだよ。年だ。

 

「年か……」


 最近寿命に向けて時間が加速しているのをビシバシ肌で感じてる。怖い。


「怖がることはない。昔の将軍様や御門様も皆通ってきた道だ」


 せちがらい。ままならない。


「まだ来ぬ時間に怯え、後ろ向きになれるのも今が充実しておるからだな。かつて某がその日暮らしで、着るものはおろか食うものにも窮していた時は、先のことを考える余裕などなかったのだから」


 お前、そんな時期もあったの? 立派な武家に生まれたと思ってたんだけど。


「人とは山あり谷ありよ」


 はあー……見かけによらず苦労してるんだね。確かにその時期のお前に比べると、こたつに入ってみかん食べながら特番の合間に思い出したように不安になる私なんて、爪の垢レベルでちっちゃいもんだ。


「父が花魁に入れ込んだ時期があってな……」


 またお前の父ちゃんがやらかした話かよ。よーし、その話を根掘り葉掘りして年越しするとするか。


 それでは皆様、良いお年を!

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