表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
457/679

収まらない

 仕事が収まらねぇ。

 本当に収まらない。この時期になると毎年思うことだけれど、毎年いつもどうやって仕事を収めていたか全く思い出せない。

 これは年末調整にも同じことが言える。毎年どうやって調整していたか全く思い出せない。


 そしてそれは武士も少なからず同じなようで…。


「増えたどんぐりたちの召し物や小物が一向に収まらぬ」


 武士がシルバニアファミリーのために用意した、百均ショップの小物や手作りの服が、箱に収まらず苦労しているようだ。少しは捨てたらいいのにと思うが、武士曰く「それはそれで『捨てるものをなぜ買った』と大家殿が怒るではないか」とのことである。この歳になってくると親の気持ちがおのずとわかるものだ。


 まあいい。こういうのは仕分けが重要になってくるんだよ。


「仕分けであるか」


 そうそう。例えば同じ種類のものは固めておくとかさ。こだわりがなければ服は圧縮してやれば、嵩が減るよ。


「なるほど……大家殿のぱそこんは実によく整頓されていそうだな」


 そうだね……新しいファイル(数字)シリーズがこの年末でとうとう5を超えたけれど。でも隣の席の上司は20の大台に達したそうだから、私なんてまだまだだよ。

 とりあえずお前にはこれをやろう。3COINSで買ったツールボックスだ。


「おお! これはよいな! 中で段になっておるのか!」


 そうそう、仕切りもついているから整理もしやすいよ。


「思ったより入るし、がばっと開いてすぐ取り出せるのも魅力だな。早速小さきものたちの物など入れてみて……」


 もう夢中になって使っている。なんだかんだ、武士が喜んでいるのを見ると、やってやったぜという謎の達成感が得られるものだ。


「だめだ! 収まらぬ!!」


 お前どんだけ物増やしてんのよ。

 ちなみに3COINSにはもう一回り大きなサイズのがあるので、サイズ迷っている人は大きめのものを買っておくほうがいいかもしれない。


 さて、武士の方がこれでなんとか収まりそうだが、やはり私のほうの仕事は一向に収まる気配がない。こうなると、また収まりきらなかった分が来年持ち越されることになる。そして私は何も見なかったことにして、スッキリした気持ちで年越しを迎えるのだ。これもいつもの流れである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ