収まらない
仕事が収まらねぇ。
本当に収まらない。この時期になると毎年思うことだけれど、毎年いつもどうやって仕事を収めていたか全く思い出せない。
これは年末調整にも同じことが言える。毎年どうやって調整していたか全く思い出せない。
そしてそれは武士も少なからず同じなようで…。
「増えたどんぐりたちの召し物や小物が一向に収まらぬ」
武士がシルバニアファミリーのために用意した、百均ショップの小物や手作りの服が、箱に収まらず苦労しているようだ。少しは捨てたらいいのにと思うが、武士曰く「それはそれで『捨てるものをなぜ買った』と大家殿が怒るではないか」とのことである。この歳になってくると親の気持ちがおのずとわかるものだ。
まあいい。こういうのは仕分けが重要になってくるんだよ。
「仕分けであるか」
そうそう。例えば同じ種類のものは固めておくとかさ。こだわりがなければ服は圧縮してやれば、嵩が減るよ。
「なるほど……大家殿のぱそこんは実によく整頓されていそうだな」
そうだね……新しいファイル(数字)シリーズがこの年末でとうとう5を超えたけれど。でも隣の席の上司は20の大台に達したそうだから、私なんてまだまだだよ。
とりあえずお前にはこれをやろう。3COINSで買ったツールボックスだ。
「おお! これはよいな! 中で段になっておるのか!」
そうそう、仕切りもついているから整理もしやすいよ。
「思ったより入るし、がばっと開いてすぐ取り出せるのも魅力だな。早速小さきものたちの物など入れてみて……」
もう夢中になって使っている。なんだかんだ、武士が喜んでいるのを見ると、やってやったぜという謎の達成感が得られるものだ。
「だめだ! 収まらぬ!!」
お前どんだけ物増やしてんのよ。
ちなみに3COINSにはもう一回り大きなサイズのがあるので、サイズ迷っている人は大きめのものを買っておくほうがいいかもしれない。
さて、武士の方がこれでなんとか収まりそうだが、やはり私のほうの仕事は一向に収まる気配がない。こうなると、また収まりきらなかった分が来年持ち越されることになる。そして私は何も見なかったことにして、スッキリした気持ちで年越しを迎えるのだ。これもいつもの流れである。




