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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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私が書く小説

「大家殿の小説を読んでみたい」


 お帰りください。

 でも普段からお前との生活をネタにしまくっている身としては、無下に断るのもどうだよって話だな。よし、ここはひとつお前の望みどおりの小説を書いてやろう。


「そんなことができるのか!? ぜひ頼みたい!」


 よしよし、それじゃアンケート取ってみよう。

 まずひとつめ。主人公は誰?


「勇者!」


 ……。

 え、そういう世界観なの? もっとこう、和風なやつじゃないの?


「勇者!」


 そ、そう。いいよ。やってみよう。えー……仲間は?


「いらん」


 硬派。んじゃ敵は?


「魔王!」


 どこで覚えてきたのよ……。あっ、ドラクエか! 舞台は?


「城!」


 うんうん、いいね。勇者の目的は?


「魔王との和解!」


 おお、交渉人じゃん。かっけぇ。魔王は?


「和解しようと思う勇者を喧嘩する方向に持っていく」


 ……。




主人公:勇者

敵 魔王

舞台 お城

勇者の目的 魔王と和解すること

魔王の目的 和解しようと思う勇者を喧嘩する方向に持っていく



魔王「ははは、よく来たな勇者よ! 世界滅亡を企む我を止めるには、もはや戦いしかない……! さあ、かかってこい!」

勇者「待て魔王! 話し合おう!」

魔王「今更話し合いなど無駄なことよ! 剣を取れい! だが我の暗黒魔法は貴様を粉微塵にするだろう!」

勇者「待て魔王! 話し合おう!」

魔王「いやだから話し合いなど無意味! 決着は互いの血を捧げねば訪れんのだ!」

勇者「待て魔王! 話し合おう!」

魔王「話聞けよ!!!!」


勇者「話し合おう!」

魔王「あのね、無理なんだって。お前ここに来るまでにめちゃくちゃ我の手下倒してるじゃん。それで今更話し合いとか無理なわけよ」

勇者「話し合おう!」

魔王「それしか言葉知らない人? あと我だって今日ここに至るまでに人間殺しまくってんのね。なのにお前話し合いで解決していいの? 無理じゃない?」

勇者「話し合おう!」

魔王「マジでそれしか言わないじゃん。話し合いたいのに全然話通じないじゃん」

勇者「話し合おう!」

魔王「我怖くなってきたんだけど」




 どう?


「良いな! これが大家殿の書く小説か!」


 ノリと勢いはそうだね。さすがにいつもはもうちょっと推敲するけど……。


「遂行? 闇討ちか?」


 この流れで闇討ちはないだろ。もっと文脈読めるようになれ。ほら、星新一の本貸してやるから。


「む、大変だ大家殿。某は別のことがしたくなってきた。腹筋ろーらーが我を呼んでおる」


 集中力の切れ方がこどものそれか?


「今行くぞ、ろーら姫!」


 ドラクエ1に出てくる姫の名前!!

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