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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
445/679

豊かということ

 気づけば街がすっかり浮かれている。イルミネーションはきらびやかに、BGMはクリスマスソングに。思い出したように色んなキャラクターがサンタ帽をかぶっている。

 そういう場所を歩くのは楽しい。無駄金だのなんだと批判する人はいるけれど、娯楽にお金を回せる社会は豊かな社会だ。ここを削り始めると、貧しさはすぐ人の身と心を蝕み始める。生きてるだけで結構大変なんだ、楽しさって重要な消費理由だよ。


 そんなことを考えながら帰ってきた私を迎えたのは――。


「帰ったか、大家殿!」


 ピッチピチのサンタエプロンに身を包んだ、ムッチムチの武士の姿だった。

 なんだその服! 無駄金を使うな!!


「街がたいそう賑やかでな。某もそれに一枚噛みたいと思ったのだ」


 百均ショップでサンタ帽買うに留めとけよ。どうしてフル装備を求めてしまったんだよ。


「せっかくだから実用性のあるものをと思い」


 え、じゃあクリスマスが終わっても時々このムチムチエプロンサンタ野郎が家に現れるの? 悪夢と区別がつかなくなるからやめてほしい。


「よし、味噌汁が温まったぞ。大家殿、椀に入れてやるから運ぶがよい」


 サンタエプロンと味噌汁、めちゃくちゃミスマッチだな……。

 いや、武士と味噌汁はマッチしてるんだけど。サンタエプロンだけが浮いてるんだよ。サンタエプロンも味噌汁も私も可哀想だし、もう脱げば?


「いやん!!!!(低音)」


 帰る場所に毎日これがいるの、三年目にして嫌になってきたな。


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