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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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シュトー…

「しゅとーなるものが食べてみたい」


 そう武士に言われた時、私は驚いた。この季節、「しゅとー」から始まる食べ物といったら一つしかない。

 だが、どこで手に入るのだろう? 私は調べ、そして仕事帰りに少し遠くの店に寄り、帰ってきたのだった。


 おーい、ただいま。お前が食べたいって言ってたやつ買ってきたぞー。


「まことか!? 大家殿、感謝するぞ!」


 おう、かなり探したんだからな。結局店で取り寄せてもらったけど……。

 はい、これ。


「……」


 だがそれを出した瞬間、武士がこの世のものとは思えない変な顔をした。喜びと困惑と、あとあえて変な顔をしてやろうという武士の茶目っ気。ヤツの今の顔はそういったものでできている。


「これはなんぞ?」


 え? お前が食べたいって言ってたものだよ。

 しゅとう。


「しゅとう」


 そう、酒盗。カツオの塩辛。主に内臓を使用。高知県の珍味。


「某が言っておったのは、しゅとー……なるものであるが」


 だからこれじゃん、酒盗。こいつを食うと、盗んででも酒を飲みたくなるところから名前がついたと言われている。


「某が想像しておったのは、菓子であるが」


 あ? 菓子?

 ……。

 ああ! シュトーレンか!! なんだよ、紛らわしいな!!


「この季節にしゅとーといえばそれではないのか!?」


 季節限定の酒盗もこの時期に出るんだよ。いやあ、お前ったら通だなぁと思って……。


「とんだすれ違いであるな。だがこれもこれで食べてみたい」


 そうだね。食べてみなよ。


「ぬおっふ! 独特なる匂い!」


 せめてご飯と一緒に食べな。

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