風邪
今日の「武士がいる」は、風邪をひいたので休みます。
いやー、なんかね、やたら体が動かないなとは思ったんだ。
これはアレか、いよいよ歳か。いやいやまだまだ自分は若い、と三本ほどストロングをゼロったのがいけなかった。
翌朝、喉がガラッガラになっていた。
「……大家殿、その声は……」
私より早く起きていた武士が、怪訝な顔でこちらを見ている。
喉が痛い。熱っぽい。体が痛い。気持ち悪い。
そう武士に訴えると、ヤツは難しい顔をして言った。
「だから三本は飲み過ぎと言ったろう。ほれ見ろ、これでは起きることもままならんではないか」
二日酔いじゃねぇんだよ、武士よ。風邪なんだよ。
ストロングに罪はゼロなんだ、信じてくれよ。
掠れた声でそう訴えると、ようやく武士は心配そうに首を傾げた。
「……風邪か」
風邪っすなぁ。
「それは一大事だ。大家殿、しばし待っておれ」
あ、待て。私喉が渇いてるからまず水を……。
え、武士、やめてキッチン行かないで。見よう見まねでフライパン出さないで。あ、思い出したように炊飯器に向かった。米を出して……あーっ! こぼした! やめろ! さてはお前お粥を作ってくれる気だな!? ダメだって、作ったことないじゃん! 普通の米すらお前満足に炊いたことないのに……あああ! やめろって! なんで水たぷたぷに張るの!?
もおおおおおおお!!
「なんだ大家殿、寝てなければ風邪は治らぬぞ」
起き上がって武士のジャージを掴んだ私に、武士は優しく言う。
アホか、寝てられるか!!
「安心しろ。某がしっかり看病してやる。知ってるぞ、こういうのは“看病いべんと”と言うのだろう。まんがで読んでな、某もやってみたいと思っていた」
だとしたらそれ何の漫画かな? 特定次第燃やそうと思うんだけど。
「まぁ寝ておれ寝ておれ。詰まるところ、寝るのが一番の薬なのだ」
武士に抱えられ、ベッドに放り込まれる。こうなると敵うはずもなく、私はあっさり出発地点に戻された。
……あー……。
……もう、どうでもいいわ……。
目を閉じ、夢の世界に現実逃避する。起きた時に広がる光景は地獄だろう。しかし、体を治さないことにはこの地獄から抜け出す術は無いのだ。
そんなわけで、明日も更新は厳しいかもしれない。でも、生きてたら褒めてほしい。
人間とは、本来生きているだけで褒められるものなのだ。
何言ってるか私も分かんなくなってきたな。
寝る。




