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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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突然の高熱! 肺に映る白い影の正体!

 最初は熱と悪寒と強烈な喉の痛みだけだった。しかし熱も一日で下がり、あとはのんびり養生するかねーと思いながら出勤するなどしていたのである。この間、武士は鼻水をずるずるさせながら空咳をしていた。


「熱は下がったとはいえ、大家殿はまだ喉の痛みが残っているであろう」


 お布団と一体になり、メジェド神っぽくなった武士が言う。


「無理をしてはならぬ。仕事とは生きるためにするものだ。ならば生きること自体が大変な時期は養生に専念せねばならぬ」


 ご心配ありがたいけど大丈夫だよ。それに今日は客先への御用伺いと事務仕事メインで終わるし。早めに帰れる。


「ていじぴったりは早めと言わんが?」


 おっしゃるとおりだ。これこそ日本の闇のひとつだろう。違うか、弊社の闇だ。不平不満になるとつい主語をでかくしてしまっていけない。

 とにかくいってきま~。




 ……などとほざいているうちが花だったのだ。翌日、私は突然の高熱と激しい喉の痛みと悪寒で立っていることすらできなくなっていた。


「ほれみろ! ほれみろ!!」


 私の周りで半纏を着たちょんまげ武士が前転している。高熱が見せる悪夢?


「走馬灯のほうが近いかもしれん。なにせ某は大家殿にとってかけがえのない思い出であるから」


 自分で言うんだね。そんで走馬灯言うな、縁起でもない。


「今度こそ仕事を休んでお医者に診てもらうぞ!!」


 うえええ、大丈夫だよ……寝てりゃ治る……ゲボォ


「吐いておるではないか、いわんこっちゃない!」


 私は武士に担がれるようにして病院へ向かった。こういう時、二人暮らしはありがたく思う。ちょんまげが伴う非日常性はもう周囲に慣れていただくことにする。


 結果として私は肺炎だとわかり、点滴などのため軽く入院することになったのだ。なんだか一定の年齢を超えてから病院のありがたみが大きくなっているなぁ。皆様も何卒お気をつけを!!

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