秋の花粉症?
武士がくしゃみを連発していた。
しきりに鼻セレブを引き寄せては鼻をかむ。リッチな鼻だ。まあそうでもしなきゃ、あっという間に武士の鼻の下は荒れてしまうのだが。
「はなせれぶのおる時代に生まれてよかった」
おめぇの生まれは江戸だろうがよ。
「鼻がむずむずしてたまらん。大家殿、これはあれであるか。よもやあれではござらんか」
ああ、そうだ。必死で目を逸らしていたけど、そろそろ認めないといけないかもしれない。
花粉症(秋)――!
何も花粉症は春だけのものではない。秋にも鼻炎を引き起こすような花粉が飛びまくるのだ! ブタクサはその最たる例だろう。
症状は風邪に似ていることもあり、注意が必要だ。いつまで経っても咳と鼻水が止まらない……調べてみたら花粉症だった! ということは往々にしてあり得る。
そして、武士。ついにお前にも花粉症(秋)のお鉢が回ってきたのだ。
「つらたん(低音)」
そうだな、つらいな。だが現代日本ならこの症状を緩和することができる。早速明日病院にGOだ!
「ぬぬう……大家殿、すまぬな。面倒をかける……」
気にするな。花粉症ってのは移らないのがありがたいところだ。いくらでもお前に付き添ってやるよ。
「かたじけない」
――そんな会話を、二週間ほど前にした気がする。
そして翌日、武士は38度の高熱を叩き出し、花粉症ではなく風邪だったと証明してみせた。
結果、鮮やかに私にも移り、何なら武士より寝込むことになったのである。皆様お久しぶり!! 次回、『突然の高熱! 肺に映る白い影の正体!』お楽しみに!!




