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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
429/689

選挙

 へーい、みんな投票行ったー!?

 私は行ったよ! 武士は残念ながら留守番だったが。


「なるほど。上に立つものは、先祖代々の流れで決まっているわけではないのだな」


 私宛に送られてきた投票所入場券をためつすがめつしながら、武士はため息をつく。


「よいと思う者を選び、一票を投じる。すなわちそれが民のまつりごとへの関わりであり、この国に生きる者の責任でもある……。良きかな。某も加わってみたい」


 何度も頷きながらええことを言うてる。昨今の投票率の驚くべき低さについては伝えないでおくことにした。


「して、大家殿はこの中の誰を選んだのだ?」


 あー、私それ言わないようにしてるんだよ。たとえ身内だろうと、誰に投票したかはナイショにしなければならない。それがうちの家訓なんだ。


「なぜだ?」


 政治関係の話は人間関係が拗れやすいから。


「そうなのか?」


 うん。想像してみてよ。この人が政治家になったら絶対国が良くなる! って自分で思ってる立候補者がいたとするじゃん。でも周りの人はその立候補者を蛇蝎のごとく嫌って馬鹿にするんだよ。そうなると今後の付き合い考えるじゃん。もしくは自分が間違ってるのかな? って思い直して別の人に投票したりするじゃん。

 ここまでの一連の流れ、面倒くさいじゃん。だから言わない。


「ほう……てっきり某は、皆で和気あいあいと誰に投じたか話していると思っておった」


 それはそれで悪くないと思うけどね。


「では、れーす結果が出て払い戻しをするまでは、誰がどの者に入れたかわからぬのだな……」


 選挙をダービーだと思ってらっしゃる?

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