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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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季語

 なんでサウナの話をこんなに引っ張ったかっていうと、毎日変わり映えない日々で特にネタがなかったからです。こういう場所を日記代わりにしてるとこうなるな。


 最近非常に暑いですね。こんな話をすると「ガンガンに暑い外とキンキンに冷えた社内(or車内)を往復してると〝整う〟んじゃない?」と声をかけられたりしますが、普通に自律神経がブチ狂って終わりです。クールビズがもう焼け石に水みたいになっちゃってる。数年前は改革の象徴と言われていたぐらいなのに。え、数年前だっけ? 十年以上前? いやだ何も考えたくない。


 今日も今日とて空が青い。


「相変わらず蚊もおらん夏よ」


 武士が(知らん間に)蚤の市で買っていた豚さん型蚊取り線香をつつきながらぼやく。豚さんも活躍の場を奪われこころなしか寂しそうだ。


「のう、大家殿。こうも季節の在り方が変わってしまえば、季語も変わってくるのではないか?」


 ああ……そうかもしれない。今時分蚊が本格稼働し始めるのって秋口だよね?

 言葉が時代に合わせて変わるように、季語もズレていくのかもしれない。あ、でも今調べたら秋の蚊の俳句もあるみたいだよ。


「ほほう?」


 秋の蚊のよろよろと来て人を刺す。正岡子規。


「ぬ、いい句ではないか。夏に本懐を果たせなかった落ち武者のごとき蚊が最後の力を振り絞って血にありつこうとする……。目に浮かぶようだ」


 そうだね。まあ令和の秋の蚊は今こそわが春ぐらいの勢いで刺しに来るけど。


「秋の蚊のどどどと来たりて人を刺す」


 そう、そのぐらいの勢い。


「他にもズレた季語がありそうだな」


 うん。たとえば夕涼みなんて言葉は使いにくくなっちゃったよね。


「確かに。今は夕方だろうと夜だろうと容赦なく暑い」


 じゃあそんな夕涼みに代わる言葉は……?


「残り熱観察」


 残り熱観察。


「夕方だと軽んじてうかうか外に出ては残った熱にやられるかもしれん」


 それはそうなんだけど風情がない。


「陽傾き窓辺座りて残り熱観察」


 ……。

 あ、もしかしてさっき一句詠んだ!? おもいっきり字余りかっ飛ばしてたから気づかなかった!

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