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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ぬいぐるみを手作りした件

 今パソコンを開いてこうして日記を書こうかななんて思ってるわけですが、右下のカレンダーを見てびっくりしました。ウソだろ、もう1月も半ば過ぎてんの? 誰の許可を得て?


 ところで最近、武士が手芸を始めました。理由はゲーセンで500円投入したでっかい犬のぬいぐるみが取れなかったからです。武士にとって500円は大金なので、大層悩んだあとUFOキャッチャーの前から離れていました。顔の中心に皺という皺が寄った表情は切腹を言い渡された武士のそれでしたが、絶対500円で見せていいやつじゃないだろ。家計は助かるからそのままのお前でいてくれ。


 で、帰ってから何をしたかというと、古着や古靴下を集めて山にしていたわけです。


「某は今よりいぬっころをこの手で作り上げる……」


 強い目だ……。まるで今から腹をかっさばく武士のよう。


「して、大家殿。針と糸がほしいのだが」


 ああ、裁縫セット? ちょっと待ってな、確か押し入れの奥のほうにしまってたから……。


 あった。ほれ。


「かたじけな――なんぞ、この黒き昇り龍は!!」


 かっこいいだろ。通称家庭科ドラゴンだ。


「うむ、まことに良い絵だ。これと同じものを某の背に彫ってほしいぐらいだ」


 家庭科ドラゴンを?


「ぬ、大家殿! 針と糸が入った小箱にまで龍がおるのだが!」


 おう、統一感あっていいよね。遠慮なく使っていいぞ。


「ぬぬぅ、これはよもや針にまでも……!?」

「……」

「……ぬぅ」


 流石に小学生の使う針にドラゴンがいるわけないだろ。


 こうして武士は、犬のぬいぐるみを作り始めたのである。

 所要時間は大体一週間ほどか。ちくちくと縫い続けた結果、意外にもちゃんとしたものが出来上がっていた。

 ……。

 いや、ほんと割とかわいく仕上がってて……オチなくてごめんね……。犬はぷくぷく丸と名付けられ、我が家のクッションに仲間入りしました。

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