ホラー映画
怖い話が好きである。
私のことなのだが。
そんなわけで、我が家の本棚にはホラー小説がズラリと並んでいる。
しかし武士が来てからというもの、日々ドタバタとしており、そうしたものを見る機会が少なくなっていたのだが……。
ふいに見たくなった。ホラーものってある日突然波が来るからわかんねぇよな。
そういうわけで、もうすぐ日本でも続編が公開される『IT』を借りてみようと武士(暇人)を連れてTSUTAYAに来たのだが。
ホラーの棚に行こうとした瞬間、武士が動かなくなった。
「悪い気を感じる」
言い訳がスピリチュアルである。
「なんだこのおどろおどろしい場所は。こんな淀んだ所に足を踏み入れようものなら、すぐに悪しきものに取り込まれてしまうぞ」
なんのかんの言って足に根が生えたように動きゃしない。武士の両腕を引っ張って引きずり込もうとしたが、体幹を鍛えた武士は本当にびくともしなかった。
さてはおばけが怖いんだな!?
「ハハッ、何を言う大家殿。おばけなんざおらん、おばけなんざ嘘だ」
寝ぼけた人が見間違えたのさってか。
じゃあ来いよ。一緒に『IT』探そうぜ。
「やめろやめろやめろ。呪われてしまう」
こんな薄いコンタクトで呪われるか! 貞子とかわざわざビデオ見なきゃいけないんだぞ!
いや、『貞子3D』ではニコニコ動画で貞子配信してたっけな。スマホからも出てきてたし。案外うっすいコンタクトでさっくり呪われるのかもしれない。
まぁいずれにしても映画の話だから。
「大家殿、こっちにしよう。こっちは実にかわいいぞ」
そう言う武士が指差すのはアンパンマンのコーナーである。だから幼児かお前はよ。
結局、間を取ってクレヨンしんちゃんになった。
『ヘンダーランドの大冒険』を借りた所、その独特の不気味さに途中大いに武士はビビっていた。
いやぁ、よく作り込まれてるよね。私は大いに満足したのである。