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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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うぐいす

 春の陽気が外でのさばっている。


 ぼんやりと三階の窓から下を見下ろすと、茶トラ野良猫が自分の股を舐めていた。股じゃなくて腹か? わからん。猫飼ったことないからわからん。なお今日の私は振替休日を取っているので、大っぴらに休んでいる。


「大家殿―! うぐいすの声を聞いたぞ!」


 延々と猫を眺めていたら、弁当を買いに行ってくれていた武士が帰ってきた。


「二羽おった! 二羽!」


 しかも一羽じゃなかったらしい。よくわかったね。視力すげぇね。


「否。二羽分の声がしたのだ」


 ほう。


「一羽目の鳴き声は、それはそれは見事なうぐいすのものでな。ホゥ~ホケキョとお手本のような声であった」


 へー。じゃあもう一羽は?


「フピョキョッ」


 ?


「フピョッ……ケキョッ、ピョッ! ホペッピョ!」


 ???


「違う、突如にして某の頭がおかしくなったのではない。そのような目で見るな。これはそのうぐいすの鳴き真似だ」


 ああ……確かうぐいすって鳴き方の練習をするんだっけ。下手っぴな子もいたもんだね。


「だが懸命に練習してるのが伝わってきた。きっといずれそのうぐいすからも、見事な声を聞ける日がくるだろう」


 そうだね。楽しみだね。


「来年にはなんとか……」


 今年はちょっと間に合いそうにないの?


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― 新着の感想 ―
[一言] 5月くらいには一丁前に鳴くようになりますよ〜(*´Д`*) オスなんですよね。鳴くの。上手く鳴かないと嫁が来ないのかなぁ…。
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