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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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現代アート

 ふと思いついて、武士を連れて現代抽象アート展に行ってきた。江戸時代にはなかったジャンルの絵だろう。果たして、ヤツがどんな反応をするのかと楽しみにしていたのだが……。


「ぬ!」


 武士は、絵を見るなり目をキラキラとさせた。


「うむ! ……うむ!」


 そして一枚一枚じっくりと見て、腕組みしたままうんうんと頷いた。


「よく描けている! 元気いっぱいだ! この絵を描いた稚児らを皆褒めてやりたいぞ!」


 賞賛をありがとう、武士。だが一つ言っておかねばならない。実はここに飾られている絵は、全て大人が描いたものなのだ。


「まことか?」


 まことだ。


「……?」


 そんな不思議そうな顔をされても……。


「ぬぬ、確かによく見れば、これを幼児おさなごが描くには難儀か。もやもやと色や形を組み合わせ、何らかの意味を持たせているようにも見える」


 ほーん、いい視点じゃん。どういう意味だと思う?


「……今朝食べたおにぎりは……よもや少し腐っておったかもしれん……腹が……苦しい……」


 そういう方向の極限でアートは生まれないんじゃないかな……。いやわかんねぇな、生まれるかもしんねぇ。何もわからねぇや。


「大家殿は、この絵から何を感じたのだ?」


 そうだなぁ。

 もう何もわからん! ええい、描いたれ! みたいな?


「やけっぱちではないか」


 でもさ、こういう絵っておしゃれな感じするよね。モダンな邸宅に一枚は飾ってるイメージ。私も正直、人間の顔が描かれた絵よりはこういう絵のほうが好きだ。


「人を描いた絵よりもか?」


 人間の視線があるのが嫌なんだよな。だからあまり家に写真とかも飾りたくない。


「であれば、大首絵なども苦手であるのか」


 いや、あそこまでいくと、結構好きになってくる。


「難しいのー」

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