表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
371/679

冬でも無敵になる方法

 先日、寒すぎてメンタルと体調を同時に崩して一日寝込んだ。ので、試しにこんな催しをしてみた。


 これ以上ないぐらい着込めば冬でも無敵になれるんじゃないか大会~!


「ナニゴトであるか」


 ナニゴトもオママゴトもないんですよ。武士、今から着込んでください。これ以上ってないぐらい。


「なにゆえ」


 我々は今からコンビニに行かねばなりません。晩御飯はシチューにしようと思っていたのですが、肝心のルーがありませんでした。あと牛乳もなかった。よって買いに行かねばなりません。


「今よりかれーへと方向を変えるのは?」


 却下。カレーのルーもない。


「とんだ見切り発車な調理をしていたのだな……。ならば、肉じゃが」


 可能だが、それだと向こう二日肉じゃが単品で乗り切らないといけなくなる。


「ううむ、であれば出かけるしかないか」


 おう。で、今日も今日とて寒いからね。いくらでも服を貸してやるから、ちょっとこれ以上ない着込んでみてくれ。


「うむ」


 そして数分後――。


「できた」


 私の目の前にいたのは、武士の面影もないただの布だるまだった。


「名付けて“まきまきくるみん”」


 いっちょまえにかわいい名前つけおって。しかし、重ね着に重ね着を重ねた結果全身から凹部分がなくなっているので、確かに見ようによってはかわいいかもしれない。

 あれだな、どことなくあいつに似てるな。

 ベイマックス。


「息がし辛い」


 アウター三枚ぐらい着てりゃ、そりゃなあ。

 で、寒さは?


「もう暑い」


 上々だ。


「そう言う大家殿は……なんというか、不審の極みであるな」


 うん。露出部分は全部潰したからね。目出し帽に眼鏡もかけてるから、これもう最強よ。


「その怪しげな布をかぶっていれば、ますくはいらんのであろうか」


 わからん……。でも一応つけとくか。


「大変だ、大家殿。お主の隣を歩きたいという気持ちが微塵も湧かぬ」


 それはお互い様だから、ほら。


「寒さは?」


 もう暑い。


「上々である」


 そんなわけで、それぞれ最強になった私達はコンビニに向かったのである。本日の締めとしては、人間冷たい風には耐えられても冷たい視線には耐えられないってところです。お疲れ様でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 白元エステーの『ムシューダ』のCMの歌詞を「♪ぶっしっし〜」と変えて歌っているのは、寒さのせいです。(*´ー`*) 別に暖まらないけど、なんか、いいですよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ