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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
369/681

玄関前で倒れていたら

 爆弾低気圧とやらの影響か、はたまたシンプルに年明けの多忙か。帰宅して靴すら脱ぐ気力もなく、玄関でぐったりと倒れていた私に、出迎えてくれた武士は無言で一度部屋の中に引っ込んだ。

 私は疲労で、ぞんな武士の姿を確認することすら億劫だった。そして数秒後、ドアの開く音がし、私の肩にそっと柔らかな何かが乗せられた。


「毛布である」


 武士が優しく言う。


「人間、体が冷えるとろくなことがないからな。一度体を温めたのち、動くがいい」


 武士……お前……。

 ありがとう。お前の気遣い、確かに受け取ったぜ。ならば私はもう少しここでゆっくりして――


「ズズズズズー」


 ……。


「ズズズズズズズズズー」


 ……。


 何の音?


「たぴおかと牛の乳と茶を混ぜたものを吸うておる」


 タピオカミルクティーね。

 え、今頃?


「美味いものは美味いのだ。別にいつ吸っても良かろう」


 はあ……。


「ズズズズズー」


 ……。


「ズズズズズおふぇっ、ゲホッ、ガホッ」


 たぴおか喉に詰まらせてんじゃねーよ! 気をつけて飲めって!

 つーかうるせぇ! 飲むにしても部屋で飲めよ!


「それが某も毛布に入っておるからして」


 なんでお前まで入ってきてんの!? こたつ行けよ! 部屋に戻る手間を横着するな!


 結局、ずっとタピオカミルクティーがうるさかったので秒で起き上がり部屋に戻った。武士は飲み切るまで、のんびり毛布に入って玄関前に座り込んでいた。


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