アロマ
アロマオイルなるものに、地味にハマっている。
無印良品のやつである。始めは自分の寝付きの悪さ対策に導入されたのだけど、使ってみたらこれが案外良かった。ので、今は何本か買ってみて色々試してみている。
自宅で作業をする際、私はローズマリーとグレープフルーツを混ぜたものをアロマストーンに垂らしている。効果はよくわからない。でも多分、集中力とか上がってるんじゃないかな。
「くさい」
武士には甚だ不評であったか。
「まことにくさい」
シンプルだが傷つく一言の代名詞を繰り返してる武士である。
「突然ぐわっと匂いがくるのだ。某は鼻が曲がりそうになるぞ」
言われてみりゃー、お前の時代にはない匂いばっかりだもんな。でもアロマって言い方しても、要するにお香みたいなもんだよ。そんな毛嫌いしなくても。
「ふむ、大家殿の言も然り。そういえは、某のいた場所にも香り袋というものがあった」
香り袋?
「知らぬか? 白檀などの香料を小さな袋の中に入れて、袖の中に入れておく。すると動いた時などに、ふわっといい匂いが香るのだ」
へー、風流なものがあったもんだね。
「うむ。時代を遡っても香を焚きしめて服に匂いをつけていたと聞くし、人と香りは切っても切れぬものだな」
うんうん。
「つまり某はどこに行っても、きつい匂いからは逃れられぬというわけだ……」
タイムスリップ経験者が絶望的な顔してる。さてはコイツ、香り袋もそんなに好きじゃなかったな?
……少し、アロマの量を控えるか……。