367/588
おひるね
居眠り――それは抗いがたい誘い。古来より、人はこの眠気に抵抗すべく様々な方法を編み出してきた。スッキリした匂いの葉を使ったり、妙なツボを押してみたり、謎のまじないを施してみたり……。
「うむ」
でも結局は、実際寝るのが一番だと思うんだ。それは私も認めるよ。
「うむ」
うん。
それじゃ、寒空の下で震える私の再三の呼びかけにも答えず、こたつで爆睡していた言い訳を聞こうか。
「眠かったので、寝たのだ」
何時に?
「昼八つ時」
つまり三時と。うん、わかるよ。その時間にする昼寝、めっちゃいいよね。
その上で聞くけど、今何時だと思う?
「暮れ六ツ」
六時ね。はい、六ひく三は?
「一?」
三に決まってんだろ、何とぼけようとしてんだ!
つーか、寝過ぎなんだよ!!
「しかし頭はしっかり冴えておる」
三時間も寝たなら当然だろ!!
「しかし大家殿もうっかり家の鍵を忘れるという失態を犯したのだ。しかも、まんがきっさなるものに行って時間を潰したという。なんと羨ましい。そこで此度は、両者痛み分けということでひとつ」
片付けられるか! 今日絶対夜更かし厳禁だからな!