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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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年賀状

 あけましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。

 よし、年始のご挨拶はこれぐらいでいいか。年賀状の数も年々減っていって、時代の変化を感じる今日この頃である。でも、律儀に送ってくれるご親戚や友人の年賀状に映るお子の写真は、やはりほんわかとした気分になれるものだ。子供がいないこちらのご夫婦は、二人で旅行に行った時の写真を貼ってくれている。仲がいいようで何よりだ。


「某も年賀状を書きたい」


 そして新年一発目の武士のお願いが、これでした。もう一ヶ月ばかり早く言ってほしかったな。

 つーか、江戸時代にも年賀状の文化ってあったの?


「うむ、よくぞ聞いてくれた! 年賀状と呼ばれるものもあるにはあったが、どちらかというと年始状が一般的でだな。その年始状も、武家や商家など、金に余裕のある者達が中心であって……なんせ飛脚に頼むのにも金がかかるから……」


 ほーん。じゃあ私よりも書き慣れてそうだな。


「否! 某はあの形式張ったカキモノがいたく嫌いだ! だが、かように絵を描いたり写し絵を貼ったりするのであれば楽しそうだなと」


 まあ確かに武士の写真は年賀状映えしそうではある。暇だし、いっちょ作ってみっか。


「いよっ、大家殿! いよっ!」


 掛け声だけじゃなく、何かしら褒め言葉を添えろや。




 と、いうことで作ってみた。武士が満面の笑みで雑煮を頬張っている写真の周りで、かわいいうさぎが無限に飛び回っている年賀状である。ポップな字体で書かれた「はぴはぴにゅーいやー!」の文字が成人男性の目に痛い。


「良き!!!!!!」


 しかし、武士はいたくお気に召したようだ。


「ではこちら、早速飛脚箱に入れてくるとしよう!」


 待て待て待て落ち着け落ち着け何ポスト行こうとしてんの!? お前宛名書いてないだろ!


「書いていなければ、適当な者のところに勝手に届くのではないか?」


 ないよ、そんな制度! 江戸にもなかっただろうが!!



 まあ、そういう年始でした。今年もよろしくお願いします。

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