アニメ見てた話
ようやく色々一段落したので、溜めていたアニメをイッキ見している。武士も私の隣で、ドキドキハラハラの展開に手に汗握る日々だ。
「しかし、これはどういう仕組みなのだ?」
私の作った糖質比較的オフクッキーをかじりつつ、武士が首を傾げる。
「ぬるぬると動き、あたかも命があるかのごとく振る舞う絵の中の者達……。気づけば某も、彼らがこの世のものではないことを忘れてしまうほどだ」
アニメキャラをオバケみたいに言うんじゃない。でもそうだよね。アニメとかゲームのキャラって、声優さんの演技や現代技術も相まってほんとイキイキしてる。ストーリーが良かった時の没入感たるや、えも言われぬ感動を覚えるもんだ。
で、何? どうやってアニメ作ってるのかって?
「うぬ」
えーと……口で説明するより見てもらったほうが早いかな。おや、偶然にもこんなところに諸事情により大量印刷されたA4用紙が。
「それをどうするのだ?」
他に用意するのはペン。そんでもってこの紙の端っこに、ちっちゃい棒人間さん登場。
「はじめまして」
二枚目には、ちょっと違うポーズを取った棒人間さんを描いてみる。
「ぬ、腕が動いたな」
こんな感じの差分を、十枚ぐらい描く。
「ぬんぬん」
よし、できた。次にこれらの紙をパラパラめくってみると……。
「おお! 棒人間殿が動いた!」
はい。これがアニメの根本的な仕組みです。
「……。……!? ……!!???」
いや、「解せぬ」みたいな顔されても。
「だが、某の知るあの者達はもっとフクザツで……!」
だからすごいんだよ。何人もの人が頑張ってアニメを作ってるんだ。
「……それを我らは無料で見ているのか?」
そうだね。まあCMとかもあるけど、感覚的には無料に近いな。
「……!」
なんかもだもだしてる。
「……ッならば某には何ができるのだ!」
すげぇ熱こもってんじゃん。えー……? DVD買うとか、グッズを買うとか?
「買うぞ!」
お、おう。じゃあラストが良かったら買おうな。
「そんなことを言っている間にも、棒人間動かし係の者には賃金が発生しておるのだぞ!」
アニメーターな。なんだ、棒人間動かし係って。