表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
349/681

いもいも

寒くなったと思ったら暑くなったり。極端な気温の変化に動揺したのか、近所の桜もおもむろに咲き始めた。

 それでも金木犀は花をつけるし、空を見上げればうろこ雲が浮いているのだ。ちゃんと秋は秋なのである。

 秋……秋といえば。


「たき火をしてはならんのか?」


 芋を手にした武士が、私にそんなことを聞いてきた。どうやら焼き芋を楽しみたいらしい。


「幸いにして、落ちたてピチピチの葉が公園のそこかしこにある。どうだ」


 いやー、最近は条例とかで色々制限されてるんだよ。あと煙が出るとなれば、洗濯物に臭いがついたりするだろ。住民密集地帯で迷惑かけちゃいけない。


「その者にも芋を分け与えればいいのではないか?」


 そんな賄賂みたいに芋を……。悪い案じゃないけど、果てしなく芋が無くなると思うな。下手すりゃ、マンションの住民全員に芋配りおじさんしなきゃいけなくなる。


「二つの意味で口封じできるかと思ったのだが」


 その前に我々の首が回らなくなるよ。我々っつーか、私の。


「焼き芋―……」


 別に自分でやらなくても、スーパー行きゃ普通に売ってんのに。


「たき火で温まって腹も膨らませる。これが秋の醍醐味ではなかったのか」


 半袖半ズボンの人が何か言ってる。


「たき火があれば『そうか、今は寒いのか!』と某の体が勘違いして、自ずと涼しくなれるのではとも思ったのだが……」


 ここにも気温差で頭がやられたやつがいたか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ