見えた雑務
今日、家に帰ったら武士が神妙な顔して折れたハンガーを差し出してきた。
「風のせいか、某のせいか。ど~っちだ」
お前。
「ぬぬーん! 正解は風のせいである!」
不正解の時はブブーって言うんだよ。それだとお前が唸ってるだけになるからね。
まあハンガーだって、風に晒され陽に晒されればいずれ劣化しようというものだ。明日買い物に行かなきゃな。
「うむ。しかしそれだけでは終わらんぞ。図書館に本を返しに行かねばならぬ」
あー、確かに。あとツタヤにDVDも返して……。
「そうそう、秋服も買わねばと大家殿は言っておったな」
……。
「どうした」
なんか……仕方ないことだけどさ。雑務の見えた休日って面倒くさいよね。全部さぼりたいな。私家にいるから武士やっといてくんない?
「承知した。しかし某に任せるということは、分かっておるな? 上限ぎりぎりまで本もでーぶいでーも借りるし、にとりでは心ゆくまでふかふかの腰掛けを堪能する。そして我が身の労をねぎらうため、帰り道はだいぶいいアイスを買って食べる」
なんでお前は雑務の楽しみ方がプロなのよ。
「羨ましかろう」
素直に楽しそうー。わかったわかった行きますよ。
「ぬん」




