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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
337/688

胃薬

 オートミールとやらを初めて買ってみて、フルグラのノリで食べたらえらいことになりました。あれ少量で満腹感が得られるのがメリットなんですね。やっぱ用法容量は守らなきゃ。


 ねぇ武士。


「腹が膨れて動けん」


 武士が、私の足元でころりと転がっている。膨れた腹の中にはオートミールが詰まりに詰まっているのだろう。


「赤ずきんの代わりに石を入れられた狼も、かような心持ちだったのだろうか……」


 オートミールを石扱いするんじゃないよ……。せめて赤ずきんにしてやりな。


「腹が痛い」


 食べすぎによる腹痛ですね。右側横にして転がってな。もしくは硬い床の上でうつ伏せ寝。


「それでも治らなかったらどうしよう」


 消化されりゃ治るんだから大丈夫だって。昼飯はほどほどにしとけよ。


「本日は大きなおにぎりを作る予定だった……」


 予定は臨機応変に変えな。

 まあどうしてもしんどいようなら液キャベに頼ってもいいけど。


「誰だ?」


 液キャベは人じゃねぇよ。胃薬だよ。


「……」


 無言で手を差し出された為、私も黙ってそこに液キャベを乗せてやった。そのあと私は会社に行く準備を始めたけど、「まずぅ」って聞こえたからちゃんと飲んだんだろうな。


「まだ効かん」


 五分じゃ無理だよ。いってきます。





 帰ってきました。

 玄関を開けるとそこには、見違えたように元気になって尻を振りながら晩飯の準備をする武士の姿が!


「液キャベ殿によろしく言っておいてくれ」


 だから人じゃねぇんだって。

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