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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
331/679

武士の負傷

 酷く落ち込むことがあった。

 でも人間ってあんまり落ち込む時間は与えられていないもので。腹は鳴るし、体動かさないと鈍るし、ソシャゲは「ほれほれログインボーナスだぞ」って待ってるし。


「お、お、お、大家殿ぉ……!」


 ――武士が右手を押さえて涙目でのたうち回ってるし。


 何、どした。とうとう闇の力に目覚めた?


「かような事態にてふざけられるのが一番堪える!!」


 本当にごめん。そんでどうしたの?


「某の指が……伸ばしたり曲げたりすると痛むのだ……!」


 マジか。何があったんだよ。


「大家殿のべっどの上から敷物に向かって“だいぶ”したら、この有様よ……!」


 何してんの???


「某はここまでだ……! せめて冷蔵庫の奥に隠した焼き菓子だけは共に極楽へ連れて行きたく……!」


 いつの間にそんなの買ってたのよ。はいはい、落ち込んでないで出かける支度しなさい。


「ぬ?」


 病院行くぜー。


「ぬぬん」






「骨!? じかに骨の様子を見るとはなんだ!? まさか皮を剝ぐのか!? おおおお大家殿おおおおおお黙って見ていていいのか某今からかの者に皮を剥いで骨を露わにされるんんのおおおおお何故押さえつけるか裏切者おおおおおおお!!」


 ピーッ(レントゲン撮る音)


 結果として、武士はただの突き指でした。安静にしていれば一週間ぐらいで治るそうです。ヨカッタネ(白目)。


「ぐるぐる巻きである」


 で、その間はシップ貼ってコテと包帯で固定させておくことになった。うまくできないとほざくので、やむなく巻いてやります。ぐーるぐる。


「新鮮な眺めである」


 できあがった包帯まみれの右手に武士はご満悦である。


「ばしゅん、ばしゅん」


 そして撃ってきた。ショボいサイコガンだな。

 こうして、武士による「一週間利き手封印チャレンジ」が幕を開けたわけである。

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