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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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今年もこの時期が

 今年も蚊に刺される時期がやってきた。


 毎年「駆逐してやる!」と思うんだけど、アイツら明確に知性見せてくる時あるから依然戦いは終わらない。この間なんて、薬指の関節を二箇所も刺された。気づかない私も私だけど、蚊も人類を嘲笑うみたいな場所を選ばないでほしい。


 そう思いながら、イライラと薬を塗っていると。


 武士が、半分出したケツをこちらに向けていた。


「蚊に刺されたから薬を塗ろうとしただけではないかー!」


 ケツを蹴飛ばされて泣き崩れる武士が言う。見ると確かにケツの真ん中あたりが赤く腫れていた。可哀想に。なんでこんな所刺されたんだろう。


「薬指二箇所キメられた大家殿には言われたくない」


 もっかい蹴ってやろうか。

 でも同じ痒みに悩む者同士、薬は渡してやった。


「……」


 だから普通それで終わると思うじゃん。

 まだ武士ケツ出してんのよ。


「だって! 召し物の生地に擦れると痒うござるから!!」


 わからんでもないが四六時中テメェの半ケツ見せられる身にもなれよ!


「見るほうが悪いのではないか!」


 お前それ当て逃げして「道を歩いてるほうが悪い」って言うようなもんだからね!?


 とりあえず、薬を塗った上に絆創膏を貼ってやることにした。これが案外効いたようで、武士は無事ケツをしまってくれた。


 それが昨日の話だったんだけど、今なぜか床に絆創膏が落ちてんだよね。普通なら素手で拾って捨てる所だけど、昨日の流れを思うとできない。だからティッシュで包んで捨てようとしていたら、武士に見られた。


「……そんな……虫を捨てるかのように……」


 その日、私が出勤するまでずっと半ケツで過ごしていた。多分抗議のつもりだと思うが、蚊より知能指数低いことをしないでほしいと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] 半ケツの武士を描いたら、それは倫理に反しますか?
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