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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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蜂ぽちステーション

 お陰様で術後の経過も良く、ぼちぼち家事等で体を動かして元の生活に戻ろうとしている。それで気付いたのだけど、武士は普段から結構家事をしてくれているらしい。家具を拭いたり、埃を取ったり。現代日本のお掃除道具を使うのが楽しいとのことだが、それでもありがたいことに変わりはない。

 というわけで、私も普段は手をつけない換気扇の掃除なんかしてみようと思い至ったのだ。武士にばっかりやらせるのも悪いしね。

 だが、換気扇の羽を取り外した時である。


蜂「ブーン」


 蜂が、飛び出してきた。


「のああああああああああっ!」


 おあああああああああああっ!


 どこで鍛えられたんだかわからねぇ素早さで殺虫剤を取り、プシューとやる。蜂はポトッと床に落ち、もだもだブンブン暴れ始めた。こえぇ。超こえぇ。


「なっ、のっ、なっ!?」


 なんで蜂がこんな所にいるのだ? と言いたいんだろう。そして、私も答えられる用意があった。

 武士さん、蜂が、換気扇の中に巣を作っています。


「まことか!?」


 疑えど動かざること山の如しである。そうだな、確認して刺されると嫌だもんな。

 だが結局好奇心には勝てなかったと見え、恐る恐る覗き込んでいた。


「うむ、確かに巣が作られておる。卵っぽいものも見えるぞ」


 だろ。困ったね。


「困ったな……。知らぬ間に同居人が増えておったとは」


 人じゃないから追い出そうぜ。寄生ってんだよ、そういうのは。


「だが蜂は単に住まいを借りておるだけだ。つまりその理屈で言えば、大家殿もこの住まいに寄生しておるのではないか?」


 うるせぇ、蜂諸共追い出すぞ。


 そういう事情で、「蜂 追い出す 安全」みたいなワードを検索欄にぶちこんだのである。結果、「蜂用の殺虫剤で巣ごとやっつけて、蜂が死んだところで巣を取り外せ」との回答をいただいた。あと「夜だと活動が鈍くなるからそこを狙え」とも。奇遇だな、その時間帯は私と武士も動きが鈍くなるんだ。

 情報は余すところなく活用するタイプなので、その日の晩のうちに殺虫剤買ってきて蜂の巣を襲撃しました。奇襲が吉と出たのかこちらの被害はゼロ。お疲れ様でした。


 ちなみに、蜂がバリバリお元気だった昼はどう乗り切ったかというと。


換気扇「ブオオオオオオオオオオオン」


 一日中爆音を響かせて、換気扇を回してました。これでうちに侵入しようとした蜂は容赦無くミンチにできるってわけですね。名案だったが、ボロアパートの例外に漏れずうちの換気扇はすげぇうるさいので、そこはなんとなく痛み分けって感じでした。

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