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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
310/679

上見れば虫

 現代人は、とかくに下を向きがちである。

 手のひらサイズの窓のようなスマホを覗き込み、自分に関係の無い世界の出来事に一喜一憂し怒っている。少しは顔を上げてみればいいのだ。

 そうすれば、そこには思いも寄らない世界が広がって――。


「虫ーーーーー!!!!」


 昨日夜、天井の隅に小さい虫共が密集していました。うわーーーー!!!!


「お、大家殿! あちらの天井の隅にも虫が湧いておるぞ! これはどういうことか!」


 うるせぇ! 知らん! ぼちぼち暑くなってきたから家にあった卵が一斉に孵ったんじゃないかぎゃあああ想像するだけで嫌!


「ぬ……! 大家殿、窓にやたらと虫の死骸があるぞ! ここから入ったのではないか!?」


 えー、でも網戸してるよ? うわほんとだいっぱい死んでる。


「穴でも開いておるのだろうか。ひとつ某が確かめてみ……」ガラッ


 あ。


「あ」


 ブイーン(外から虫達が遠慮なくIN)


「ぬおおおっあおおおおおおお!!!?」


 おおおおおおおおお!!!?


 即刻窓を閉めました。武士は後で締めときます。

 とにもかくにも、まずは部屋にいる大量の虫をなんとかしなければならない。こんな奴らと同じ屋根の下で寝られるほど、太い神経を持ち合わせてないからだ。


「某が一匹一匹成敗するか?」


 武士がぶんぶこ木刀を振り回して言う。悪くないが、流石にそれは骨の折れる話だろう。よってここは文明の利器を使うことにする。


 殺虫剤! 武士、用意!


「大家殿、無いぞ!」


 無いか! そういやこの間、使用期限切れてたから捨てた気がする! ヤベェ、ピンチじゃん!


「だがこれなら!」


 そ、それは……!

 網戸に直接かけるタイプの殺虫剤スプレー! 一度使えば三ヶ月ぐらい網戸に虫が来ないらしい、網戸用殺虫剤スプレーじゃないか!!


 最初からコイツで網戸にシューしてればこんなことにはァッ!!!!


「過ぎたことを悔やんでも仕方ない! 今はこやつを使って虫どもを退治するぞ!」


 そう言い放った武士の背中のなんと頼もしかったことか。

 ちなみに、一発シューするだけで虫はボタボタと落ちました。そりゃ向こう三ヶ月もつやつだもんな……。

 でも引き換えに私はしばらく鼻水が止まらなくなったので、皆さんは適切な撃退スプレーを買ってください。現場からは以上です。

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