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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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季節の移り変わり

 美術館にて、近く日本刀などの展示があるらしい。

 なーにが江戸時代の刀だと。こちとらリアルタイムにほんまもんの武士が居候しとるんやぞと。

 しかし、日本の歴史を裏付ける品を適切に管理する為に国費を使うのは素晴らしいことだと思う。私も武士を管理するための補助費が欲しい。


 そういうわけで、調べてみました。


 そもそも武士には戸籍すら無いことに改めて気づきました。補助費以前の問題ですね。

 なあなあにしておこう。いつか帰るだろうし。


「おかわり!!」


 そして武士は今日もご飯のおかわりを宣言し、自分でよそいに行ってお腹いっぱい食べるのである。「居候三杯目にはそっと出し」。そんな川柳すらどこ吹く風だ。

 まあ、変に萎縮されても困るのだけど。帰ってきた家が陰気な空気に包まれているのは嫌だ。その点、武士はいつでも楽しそうだからいい。

 ……お、今日カーペット変えてくれた?


「うむ! 暑くなってきたからな、冬用の敷物は片して夏用のものにしたぞ!」


 サンキューサンキュー。助かるよ。


「しかし、季節の移り変わりがこうも極端であるとは驚くべきことよのう。某がいた江戸では、もう少し境目を楽しむ余裕があった気がするのだが」


 うーん……個人的な感覚だけど、二十年ぐらい前はまだマシだったと思うよ。ここ数年は、ほんと私も参るぐらい気温差がある。


「差し詰め……そうだな。シュンっ……カーーーッ! シュウッ、トオーーーーーッ!!!!」


 何何何。


「……といったところか」


 待って怖い何の話。全然追いついてないんだけど。


「だから、『春夏秋冬』ではなくて」


 はいはい。


「シュンっ……カーーーッ! シュウッ、トオーーーーーッ!!!!」


 あー。

 分かった。考えちゃダメなやつだな、これ。


「トオーーーーーッ!!!!」


 冬にあたる部分の勢いでまたおかわり行きやがった。ごまかせてねぇ、ごまかせてねぇから。

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