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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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目薬

 心が疲れたので、せめてお坊さんだけは私に寄り添ってくれと思って説法を拝読してたら「無駄な努力に時間を費やし効率的なやり方を考えない人間は、怠け者と同義」と叱咤され、膝から崩れ落ちるほどのダメージを受けました、大家です。

 一ヶ月ほど前の話ですが、まだ傷は癒えていません。


「ぽけもん、おもしろき」


 ところで今お仕事を休んでるんですが、療養しながらアルセウスやってます。あの野生ポケモンの本質を肌で感じられると評判のやつです。コリンクに追い回され、コダックに怯え、ストライクの集落に突っ込んで青ざめ。リングマとヒメグマに囲まれた時には、流石に死を覚悟しました。

 ポケモンに試される。ポケモンと生きていく。それがアルセウス。


「目が疲れたのー」


 武士は謎の足パカを繰り出しながら、目を擦って言います。そうだね、現代日本人の娯楽って結構目ェ使うこと多いからね。そんなあなたにいいものをあげよう。


「なんぞ?」


 お目目、ぱっちり開けて上見てみ?


「ぬ? ……ぬうううううっ!」


 数滴目薬を投下したところ、武士は部屋中転げ回って悶えていました。が、数秒後。


「すぅすぅする! 目の中に! 風が吹いておる!!」


 ガバッと跳ね起き、全身で感動を表明していた。賑やかな男である。


「これはよもやあれか……! 噂の! 目洗い薬!」


 そうそう、目洗い薬とも言う……。

 ってあれ? 江戸にも目薬あったの?


「あったぞ。某は使ったことがないが、父が使っておってな。中に薬が入った巾着を水に浸し、そこから滲んで出てくる液にて目を洗い申すのだ」


 ほうー、色々考えるもんだ。


「だがこれはただの水なのに、すぅすぅする……。なんとも不可思議」


 あ、これ薬だよ。水じゃないよ。


「んぬ? ……ぬおーっ! 喉に! 目から喉に流れてきおった! 不味い!」


 わかるわかる、目薬の量が多いとそうなるよね。


「大家殿ーっ!」


 これは流石に私のせいだな。ごめんね。

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