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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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徒然夜散歩

 家に帰ると、武士が寝ていた。


「ぐおーっ」


 いびきまでかいて。お気に入りのピンクのぬくぬく毛布にくるまって。

 おい起きなさいよ。今起きないと夜眠れなくなるぞ。


「小松菜を煎じて飲め……」


 変な寝言だな。普通に食わせてくれよ。






 そして夜。


「眠れぬ!!!!!!」


 ほれみろ。

 時刻は午後十時。武士はギンギンに目が冴えていると見え、布団の上をコロコロと転がっていた。矜持も何もあったもんじゃないな。


「眠れぬー。眠れぬわー。ぬー」


 知らんよ、自分で何とかしてくれ。

 とにかく私は眠いから寝るね。おやす……。


「夜散歩に参ろう」


 息するように人を巻き込んでくるなぁ。そういうの江戸でも嫌われない?


「一人だとアヤカシが出るかもしれぬゆえ」


 アヤカシね。当たり判定小さいらしいけど頑張って撃退してな。


「アタリハンテイ?」


 あ、ごめん。通じないか。いやごめん、説明求めないで。ギャグ説明するの恥ずかしいしそんな面白くなかったし。


「アタリハンテイ! アタリハンテイ!」


 連呼しながら出て行こうとすんな! ご近所迷惑だろ!

 んんんもううううう!!






 こうして、武士と暗い夜の道を並んで歩くことになったのである。

 街頭に照らされた道は、いつもの見慣れたものとは違う。人の光の届かない場所があれば、それこそ何かが潜んでいそうだ。


「明るい!」


 うん、でもまあ実際明るいのよね。コンビニとか全然営業してくださってるし、マンションのエントランスは煌々としてるし。つーか車もまあまあ通ってるし。

 これぞ偉大なるエレキテルの力である。なんかしっとりとした感じは無いけどな。


「江戸もこうであればいいのに」


 情緒も何もあったもんじゃないし、少なくともアヤカシは全滅しそうである。

 でも意外だ。お前車とかも最初怖がってたし、こういう夜を侵していく明かりもそんな好きじゃないのかと思ってた。


「えれきてる車よりアヤカシの方が怖いでござる」


 そんなもんか。都合いいね、お前。

 つーか寒っ! ここ最近の夜寒っ! お前平気なの?


「みーとぽーくが某を守ってくれておるから!」


 ヒートテックのことかなぁ。つーかミートポークってそれもう全部肉じゃん。肉の鎧ってこと? ムキムキのお前のこと?


「肉の鎧? けばぶ?」


 あー、確かにあれも肉の鎧感あるよね。

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