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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
273/679

猫ちゃんを触る

 愛し方が分からないので、抱きしめ方も分からない。

 私はそういう人間だ。


「よーしよしよしよし、良い子であるぞー」


 たまには出勤以外で外に出るかと、武士の散歩に同行してみた。すると馴染みの猫ちゃんがいたらしく、さっきからこのように武士が構っているのである。


「大家殿も来て撫でてみんか。実に愛らしいぞ」


 いや、私猫とか犬とか触り方分からないんだよ。飼ったことがないから身近じゃなくてさ。だから変な触り方して嫌な気持ちにさせそうで怖い。


「まことにござるかー?」


 ニヤニヤしやがって腹立つな、コイツ。

 とはいえ、見るのは好きなのだ。いや、武士じゃなくて猫の話ね。動物番組は謎のアフレコが無ければ全然見るし、Twitterで動画が流れてきたら再生する。

 ただ、愛し方がわからない。どう抱きしめればいいかわかない。

 一方、武士は動物が満遍なく好きである。聞くところによると、昔野良犬や野良猫に餌をあげ続け殆どペット同然に手懐けていたらしい。絵が簡単に想像できるな。

 念の為、現代ではそういうのは簡単にできないと告げている。ご近所の迷惑にならないよう、無責任な行動は慎み猫ちゃんとの距離をはかりつつ、そして時には不妊手術なども視野に入れなければ……。


「うおおっ! ここはダメだったか! 引っ掻かれた!」


 猫ちゃんから予想外の反撃をくらった武士のあられもないもない悲鳴が、街中に響き渡る。いつものことらしい。突然引っ掻く子らしい。でも全然引っ掻かないこともあるので、そこは賭けらしいいや知らんがな。


「ぬう。本日は吉である」


 そんなわけで、武士は時々この猫ちゃんで運試しをしているという。なお会えたらそれだけで嬉しいので、凶とかは無いそうだ。知らんがな。

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