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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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いたずら

 ほんの出来心で、武士がいつも着ているジャージの裾を結んでみた。


 それを何食わぬ顔で脱衣所に置き、自分は部屋に戻る。

 武士が風呂から上がってくる。着替えている気配がする。


 そして……。


「あああぁーーーーっ!!」


 ドシン、と尻もちをつく音がした。


「大家殿ーーーーーーっ!!」


 即バレした。


「何をするか! いたずらをするなら前もって言ってもらわんと!!」


 いやそれだとイタズラの意味ねぇじゃん。

 一生懸命ズボンを引っ張り上げる武士を見て、そう言った。


「ええい、小癪な! 今に見ておれよ……!」


 お、どうする? どうするんだ?

 ニヤニヤしていると、武士は背筋を伸ばした。


「……某は、大家殿と違うからな。前もって教えておいてやろう」


 うむうむ、ありがたいありがたい。


「――夜、大家殿が厠に行こうとする折、その足の生えた布団の下からニュッと足首を掴む」


 それを聞いた私は武士に土下座した。


 私が悪かった。それは怖すぎるからやめてくれ。やめてください。



 その後しばらく、夜起きた時に武士とベッドの下を警戒するようになった。ほんと、軽はずみに悪ふざけなんてするもんじゃないと思う。

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