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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
251/678

オリンピック

 武士とオリンピック見てます。


 言わずと知れた、世界中から世界中の人々が集まって世界一を決めるスポーツの祭典。今回は本当にたくさんの課題があったけれど、それでも全力を尽くして今を戦う選手たちの姿や、その裏で支える皆さんの存在には胸が熱くなる思いがします。


「同じ人だというのに、こんなにも色が違うのか。驚きである」


 しかし、武士は別の視点でオリンピックを見ているようだ。


「そういえば顔も全然違うな。体の大きさも。これで同じ土俵で戦うというのは、いささか無謀ではないか」


 各国の選手を見ながらの発言である。確かに生粋の江戸人には、海外の人は新鮮だろうなぁ。

 んでなんだっけ。同じ土俵で戦うのが云々つったっけ? そりゃまあ確かに、生まれ持った資質や環境はなかなか覆し難いものがあるだろうな。でもだからこそたくさんの競技があるわけで、そこにドラマも生まれるわけで……。


「ぬ、この者もまた方言が強いな」


 聞けや。

 え、何? 方言?

 お前アメリカの選手見ながら言った?


「うむ。やはりこの男も某とは違う場所で生まれ育った者だ。所変われば言葉も変わる。某、この者たちが何を言っておるかさっぱり分からんぞ」


 あー。

 ……あー。

 あのね、多分だけどね。お前ちょっと間違った認識してると思うよ。


 その選手、英語圏の人やねん。


「……ぬ? 今なんと?」


 英語圏。英語。イングリッシュ。わかんねぇかな、時々お前も使ってるだろ? エレキテルとか。トマトとか。

 日本語じゃないの。英語っつって別の言語なの。


「……!!!!???」


 めっちゃ驚くやん。知らなかった?


「初耳でござる!!!!」


 そっかぁー。

 あれ? でも江戸時代だってオランダの人とか来てただろ。話とか聞いたことない?


「師匠の語る嘘だと思っておった」


 お前なんでしょうもない嘘には騙されるのに本当のことは信じねぇんだよ。ディスコミュニケーションが過ぎるわ。


「つまり日本語は、長きに渡る歴史の中で英語も獲得してしまったと」


 そうだね、そう言っていいのかもね。和製英語って別のジャンルになるのかもだけど。

 もっとも、それを言ったら大昔に中国の言葉を独自アレンジしたのが日本語の始まりの一つだったりするんだろうが……。


「ぬーーーーっ!! 金!! 大家殿喋ってる場合ではござらん!! この者が獲ったぞ金!!!!」


 ぎゃーーー嘘嘘マジで!? マジだうわーーーっ!! アホに構ってて歴史見逃したうわーーーーっ!!

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― 新着の感想 ―
[一言] Bushiiiiiiiiiiiiiiii!!!!!!!! (※外人風に)
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