ビニール
寝坊した。
全速力で弊社に向かっているそんな時、普段鳴らないメールアプリから突然着信のおしらせ。
「学生のみなさん、まだ間に合います! お得なキャンペーンをこの機会に……」
間に合いそうに!
無いんだよ!!!!
空気なんてものは読まない。そう、iPhoneならね。
会社はギリギリ遅刻せずに済みました。
そんなことはどうでもいいんですよ。武士の話です。
江戸時代には無くて現代にあるものってたくさんあると思うけど、中でもビニール袋のものに出会った時の武士の反応といったら凄かったと思う。
「ぬおおっ! なんぞこれは! 軽い……薄い……透けて見える……水も弾くぞ! して、丈夫さは……」
みよーん。
「伸びる! 伸びるぞ!」
バリッ。
「破けた!!!!」
マジでうるさかったです。つーかゴミ袋に穴開けんな。
「これは何でできておるのだ? 紙……ではないな。うぬ? キノコ?」
キノコではないな……。
「海のキノコ?」
海のキノコってなんだよ。
「……」
舐めた。
「味がせぬ」
まあそりゃそうだよ。いやだからゴミ袋舐めんな。いくら新しいからってヤだろ、なんか。
「一体全体、何でできておるのだ……?」
そう言いながら、ビニール袋を手にチラッチラッとこちらを見る武士である。まあね、そこまで気になるなら教えてやろう。
それはね、石油でできてんだよ。
「せきゆ……?」
石油とは、大昔に死んだプランクトンが色々あって……。
「ぷらぷら……?」
……。
「……」
困った時のYouTubeである。武士と一緒に石油のでき方を見ました。石油エネルギーと縁遠い生活をしていた武士は、とっても驚いていました。
「某、舐めてしまったぞ!!」
まあ、そこは大丈夫なんじゃないかな……。
「しかしすごいな、びにーるぶくろ! これさえあれば某、雨すら怖くないぞ!」
かぶって出かける気なのだろうか。めちゃくちゃ見たいけど、お前が考えつくことぐらいとっくに皆考えてんだよ。
な、ビニール傘。
「これはしたり!!」
今日のコイツはほんとにうるさいなぁ。




