変化
最近、シンプルに忙しい。
そんなアレ。
それと生来の性格も相まって、まともに流行の一つにも乗れやしない。なんだっけあれ、クラブハウス? 華やかに流行が訪れ、乗れぬまま最盛期へと突入し、戸惑っている内に周りは手放し始めている。人々の順応の速さと切り替えを、私はボーッとしながら眺めていた。まったく、大概のことにおいて自分という人間は蚊帳の外だ。
「そんなこと言うても、大家殿は友達がおらんからいずれにしてもやれんかったではないか」
なんでお前、アレが招待制って知ってんの?
ちゃっかり私より情報集めやがって。
「蟹付き一戸建て」
クラブハウスな。かに道楽の話してんじゃないんだよ。
そういや、武士はそういう流行とかには乗る方だった?
「ぬぬ! 某は誇り高き武士であるからな! そのような市井の移ろいなど、鼻にもかけておらんかったわ!」
そういや江戸時代後期の武士は泰平の世になり過ぎて貧乏武家も多かったって授業で習った気がするな。
「そんな恥、後世に残さんでほしい」
でもそっか、そうなると流行とかはお金のある庶民文化の方に流れてっちゃうのか。アレだなぁ、結局は変化できる余裕がある人々の中で流行ってのは作られてくのかね。
「然り。そして最も変化できるのは、いつの世も子供だ。つまり大人であっても、童心を忘れずにおれば変化を楽しめるのだぞ。この某のようにな!」
ええこと言ったぞ、みたいな顔してる。
「実際某、我が友である蒼海殿が次から次へと考えてくれる遊びで大いに楽しんでおる」
ああ、お前近所の小学生とも仲良かったっけか……。でもやっぱ、小学生の考えたものだとちょっと物足りないんじゃないか?
「先日は、“だるまさんが転んだと思ったらバカめ! そっちは残像だ!”ごっこをした」
ごめん何それ超気になる詳しく聞かせて。




