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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ひな祭り

 新聞を見ていた武士が、「おお」と声を上げた。後ろから覗き見るに、どうも雛人形の写真を見ているらしい。


「すごい、すごいな! この時代にも残っておったのか!」


 武士は、きゃっきゃと喜んでいる。そういやコイツ、シルバニアファミリーとかも好きだったな。


「内裏雛に三人官女に……これは五人囃子だろう? うむ、皆きちんと座っておるな。おお、餅まである。某がいた頃とさほど変わっておらんようだ」


 へぇ、江戸時代にはもうこの形が出来上がってたのか。つーかお前、お江戸長しとはいえいつの時代の武士なのよ。なんとなく後期かなぁとは思ってたけど。


「それはともかく」


 置いておかれた。


「雛人形とは、実に見応えのある良いものである。ああ、江戸でも雛人形といえば女子のものでな。うちは家に女子が生まれなかった故、あまり縁が無かったのだ」


 そっか。言われてみれば、うちには姉ちゃんがいたから、この時期にはお雛様を飾ってたなぁ。とはいえ、こんな十段みたいな豪勢なやつじゃなくて三段ぐらいのやつだけど。

 そんで年々ちっちゃい部品が無くなってくの。五人囃子が完全に手持ち無沙汰になってんの。


「季節物のあるあるであるな!」


 本当にね。


「ううむ、しかし見事なお雛様である。願わくば、じかにこの目で見てみたいが……」


 時期が時期だからねぇ。我慢だな。

 あ、でも動画サイトとかには載ってんじゃない?


「見てみようぞ!」


 そして二人で『お雛様 すごい 動画』と検索した結果、ミニ四駆のモーター使ってすげぇ勢いで首を回転させてる名古屋の福よせ雛の動画に辿り着いてしまったのである。武士が「これ欲しい」って子供みたいなこと言ってましたが、完全に本来の目的を忘れてる目でしたね、あれは。

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