表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
222/679

写真加工アプリ

 なんやかんや二百話を超えてしまった、この「武士がいる」。

 ただ武士と同居しているという以外、マジでどこにでもいる一サラリーマンの私。しかし、そんな自分にも気になることがある。


 ――今これを読んでいる人の中に、果たして私のファンはいるのかということだ。


 いたらプロポーズしてしまうかもしれない。あなたに贈る為だけに買った薔薇とか差し出してしまうかもしれない。

 っていうか、シンプルに彼女が欲しい。


「大家殿の嫁事情はともかく、良い時代になったものだな」


 そしてさっきから、床に寝転がって私のスマホを眺めている武士である。視線の先には、一年前に私がダウンロードして今や完全にただの壁紙と化した婚活アプリ。


「仲人を介さずとも、こうして妻を選び娶ることができるとは。うむ、これは良い。許嫁とは違い、きっと意にそぐわぬ出会いも減ることだろうからな」


 いやー、どうだろうな。許嫁に悪い思い出のある武士さんには悪いけど、最近は写真加工アプリの躍進も目覚ましいものですよ。


「しゃしんカッコウぱい?」


 もう全然覚えられてねぇじゃん。写真加工アプリ。顔とかすげぇ美人にできる不思議なアプリのことな。


「ほう?」


 ものは試しだ、やってみるか。おいスマホ返せ。

 ……ほら武士。はい、ポーズ。


「む」


 よし撮れた。見てみろ。


「むむむむむ誰だ此奴は!? え、某!? なんと、某の目が大いにこじ開けられておるぞ!!」


 その通り。このアプリを使えばあら不思議、勝手に目とか大きくしてくれたり肌とか綺麗にしてくれたり痩せさせてくれたりするのだ。

 つまり、上手くやれば自分とは全く別人の美人ができあがってしまう。


「なんだと……! では、某が先ほど見ていたこれら美しき女人は……!」


 そう、幻かもしれねぇ。


「マボロシーーーー!」


 人差し指振りながら言うな。


「だが、そうなれば何を信じれば良いのだ……!?」


 まあ……話してみてからのフィーリングとかじゃない? 容姿を二の次においとけば、そこががっかり仕様でもどうでも良くなるかもしれないだろ。


「むむ……大家殿は玄人であるな」


 いや、実際に出会ったこと無いから完全に偏見だけど。


「……とりあえず、大家殿もしゃしんを撮ってみるか?」


 やー、それは今はいいかな。よく考えたら焦ってるわけでもないし。つーか早く朝ごはん食べ……。


「坊主!!」カシャッ


 ポーズっつってんだろ! やめろや!


「お、撮れた。したらばどうすればよいのだ。これをこうして……ぬぬう? ぬう」


 おいおいおいおいまさか婚活アプリに登録してねぇだろな。頼むよ、それならもっとヒゲとか剃ってから……。


「できた! 美しき女人!!」


 女体化アプリ使うな! 武士のくせに器用だな、お前!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おそらく、ファン10人ぐらいはいると思います
2025/03/20 15:53 チョコ山葵
[一言] 「花見」まで拝読して、やっぱり、薔薇の花束送っておいた方がいいのかな?と感想に伺いました。(錯乱) 大家さんの嫁になった妄想をしたら、週末は大家さんと武士の2人きりの時間を作るために用事を作…
[良い点] ξ˚⊿˚)ξ <おおやどのー❤ ξ˚⊿˚)ξ <大家殿は幸薄武士連れという婚活に怪しいオプションががが。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ