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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
211/679

インスタ

 寒い。

 なんでも今ものすごい寒波が来ているらしいのだ。

 なら仕方ないね。

 向こうにも事情があるだろうからね。「そろそろ寒くしときたいんですよ」って言われたら、しがない一人間としてはもうなす術が無い。


「はい、ぼーず」


 そんなわけで、我らは巣篭もり。武士と自宅待機しながら、インスタ映えする写真を撮っていたのである。

 いや、私はインスタを始める予定は無いのだが……。


「いんふるえんざになりたい」


 武士が、やりたいと言い出したのである。そして多分なりたいのは、ウイルス感染症じゃなくて影響力のある情報発信者だと思う。


「日常の何気ない世界が美しく切り取られる時、人は共感し、感動するのだ」


 分かったようなことを言ってやがる。


「なぁ、豆苗」


 そんでもちょっと被写体に生活感が出過ぎじゃねぇかなぁ。

 なぁー、見てよこれ。絶対二日前に収穫すべき伸びっぷりだもん。ダメだよ、こんなの日常のちょっとしたズボラを発信しちゃ。お前は良くても私が恥ずかしいよ。


「#日常、#ぐんぐん育て、#7日目、#豆苗のいる生活、#生まれてきてくれてありがとう」


 子育てっぽいハッシュタグつけて騙そうとすんな。


 つーかお前、ちょっと詳しいね!


「家にいると暇なのである!」


 武士は、エヘンと胸を張った。暇にあかせてインスタを漁っていたらしい。


 だが登録方法が分からないらしく、武士はインスタを開始できていない。そして私から教えるつもりも無い。


 けれどもし、皆さんがインスタのどこかで武士を見かけたら。その時は、どうか優しくしてやってください。

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