プレゼント人数分
いや、なんで私はコイツと普通に二度目のクリスマス迎えようとしてんだ。帰らねぇのかよ、江戸に。
「ぬー」
もう殆ど鳴き声みたいになってきたな、それ。
で、結局プレゼントは決まったの?
「まだ決まっておらん」
ふーん、欲深いお前にもそういうことあるのね。
「早く決めぬと、三太殿が受付を終了してしまわれる……!」
そうだな。早く決めてくれ。
「……しかし、そう言う大家殿は決めたのか?」
私?
あー……そうねぇ。去年は確か酒瓶だったな。
今年……今年は……。
……クラフトビールとか……?
「結局酒ではないかー!」
うるっせぇなぁ、悪いかよ。
もうね、こちとら枯れてんのよ。だいぶ悟りの境地に近づいてきて、無欲も無欲なのよ。酒ぐらいしか楽しめるもん無いの。あ、あとゲーム。あ、あと本。あ、あと……。
「無欲とは」
そういうわけだ。はよ決めろ、プレゼント。
そんで決めたら紙に書いてこの袋に入れといてくれ。
「んぬぅ……」
そして、二日経った今日。
袋に何か入っている気配がしたので、開けて覗いてみることにする。すると何故か、紙は複数枚入っていた。
どんぐりと、にぼしと、銀之丞と、タコ助。そんで、武士の分の希望プレゼントが。
アイツが悩みまくってた理由、これかよ!
故に私は今、頭を抱えて武士を説得する言葉を探しているのである。




