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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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景品

 ちょっと運が良くて、ビンゴゲームで景品を当てた。で、早速おうちに持ち帰って武士に報告したのだが。


「備後げぇむ?」


 何その山陽道付近限定の遊び。

 違う違う、ビンゴゲーム。なんかこう、数字が当たったら嬉しいゲームのことだよ。


「ふむ?」


 まあそこはいいんだ。それよか景品よ。

 じゃじゃん。見ろ、プラズマクラスター付きの空気清浄機だ。


「くうきせいじょうき……」


 おう、エレキテルの力で空気を綺麗にするやつだ。


「?」


 まあ百聞は一見にしかずと言うよな。はい、スイッチオン。


「……」


 ……。


「……?」


 そんな顔すんな。


「清められておるのか?」


 おるよ。もうバリバリ清められておるよ。わかんない? お前によって澱んだ空気がまたたくまに綺麗になってんのが。


「確かに、この狭くむさ苦しい部屋にしては森におるかのような心地になってきたな」


 うるせぇわ。でもまあ、空気って見えないもんだからね。証明は難しい。

 ちなみに空気が汚れてるって判断したら、ここに赤いランプがついてゴンゴン動くんだって。


「ふむ」


 よって……。


 今日の晩飯は、お魚を焼く!


「うむ!」


 そして、その日ボロボロのフライパンで焼いたアジの開きは焦げて部屋の中を煙で満たし、空気清浄機は真っ赤に点灯したのであった。見事、空気清浄機は空気という見えないものを何とかしているのだと証明したのである。


「空気清浄機より、その浅き鍋を当てる方が良かったのではないか?」


 若干焦げた魚を頬張りつつ、私は武士の正論を聞き流すことにした。

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