悪い夢
今日はハロウィーンですね。
え? 仮装はしないのかって?
ははは、何をおっしゃる。
ここに武士の仮装をしたチョンマゲがいるじゃないですか。
「お菓子をくれねば辻斬るでござる! お菓子をくれねば辻斬るでござる!!」
物騒なんだよ、トリート内容が!!!!
武士にはハロウィン限定のお菓子を与えておいた。辻斬るんじゃない。
しかし、ハロウィンのオバケの話ではないが、最近妙な悪夢を見るのである。
「妙な悪夢?」
武士がきのこの山とたけのこの里を交互に食べながら、首を傾げている。蛮族の食べ方かよ。
まあね、そうなんだよ、悪夢。
「どんなのだ?」
うん。この間はね、阿佐ヶ谷三姉妹の夢見たんだ。
「ぬ?」
阿佐ヶ谷三姉妹。
阿佐ヶ谷姉妹って二人じゃん。でも実は元々三姉妹だったんだ。その消えたもう一人の妹の存在に私が気づいてしまい、真相にたどり着いた私を消すため残る二人に狙われる夢だった。
「なんだそれは」
なんだろうな、この夢は……。
阿佐ヶ谷姉妹好きなのに……。
「他は?」
他? えーと。
不老不死の薬を練りこまれたゴマ団子を食べたら、食べても食べても減らなかったとか。
「……」
不老不死の効果が、ダイレクトにゴマ団子に出たらしくて。
「……怖いのか? それ」
怖くない? あーゴマ団子美味しかったなーって思ったらまた皿にあるんだよ。それが二回も続くの。
「三個は食べたのだな」
四個目は入らなかった。昔はバクバク食べられたんだけどなぁ。
「ああ……」
とにかく怖かったです。
「妙に怖さが伝わらん」
そういう武士はどうなのよ。最近悪い夢見てない?
「ぬ、そういえば江戸に帰った時の夢を見たぞ」
え、なんでそれが悪夢なのよ。
「江戸市中皆そんびになっておってな」
武士がいっちょまえにバイオハザードの夢見てんじゃない。
「某は、手にしたナタでバッタンバッタン」
そこは刀使ってくれよ。武士なんだからさ。




