表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
186/679

声枯れ

 会社にて、私の声を聞いた口の悪い人が言った。


「第二次性徴期遅くね?」


 誰が声変わりじゃコラァ。

 こちとら十年以上前に済ませとるわオラァ。

 シンプルに喉枯れじゃウラァ。


「酒焼け?」


 ここ二週間ひっきりなしに風邪ひいて一滴も飲んどらんわドラァ。


 そんな話をしていると、会話を聞きつけた上司に強制自宅送還を命じられました。明日も休めとのことです。

 わあ、長期休暇。


「どこでもらってくるのだ」


 そういうわけでおうちにて半纏着てボーッとしていると、武士が話しかけてきた。

 何? もらってくるって何の話? お歳暮?

 あ、風邪か。


「大家殿は生業にてあちこちに出かけておるからなぁ。ついでに病ももらってくるのだろう」


 そうだね。


「しかし! 大家殿とこうして共に過ごしている某は、まったくの元気であるぞ!」


 そこだよ。

 なーんでお前は風邪ひかないわけ? もしや何かやってる? ヤバめの薬みたいな。


「薬?」


 あ、いや、ごめん忘れて。

 でも気になるなぁ。ねぇ武士、なんか健康の秘訣とかあんの?


「うむ。いくつかあるが、今すぐできるとなれば呼吸法だな」


 ……。


「こう、丹田に力を入れてな。鼻で息を吸い、口から吐く。息を吸う時には新しき空気を指の先まで満たすことを想像し、そして吐く時には悪いものを押し出すことを想像するのだ」


 ……。


「これを繰り返してしっかり食べてしっかり寝ていれば、風邪など容易に近づいて来ぬ」


 もしかして鬼滅の刃で何らかの柱でもしてました?


「いや、これは刀の師範に習うた」


 そういやお前江戸時代の武士だったね。かっけー。

 よーし、早速試してみるわ。


「うむ!」


 ……あー、ダメだ。鼻詰まってるわ。もう最初の一歩ができねぇ。鼻から息吸えねぇ。呼吸法破れたり。


「なっはっは、なんだその声は」


 今更だねお前ー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ずいぶん長引いていらっしゃいますね。 お大事になさって下さい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ