表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
185/680

風邪ひいたら更新するアレ

 またね、風邪をひいたんすよ。

 流石に会社にいられなくて、上司に「帰りたいっす」と言ったら、「今色々アレな時期だし、社用車使っていいから病院行ってこい。車は次出社する時に返せばいいから」って言ってもらえたんスよ。

 そんなわけで、三十八度の体引きずって病院に行ったんです。で、知らなかったんだけど、今コロナの影響で発熱してる人は特定の時間帯でしか受診できないんですね。みんなはちゃんと事前に調べてな。車の中で二時間待ちぼうけをくらった私との約束だ。


 そんなこんなで、今。


「くるま」


 アパートに帰ってきたら、たまたま鍛錬が終わった武士がじーっと社用車を見つめていた。


「……買ったのか?」


 いや、会社のだよ。


「ふむ」


 そしてまた、じーっと見つめ始めた。

 ……武士と出会ってから一年ちょい。最初こそ走る鉄の馬におっかなびっくりしていたものだったが、流石にだいぶ慣れたらしい。


「触ってよいか?」


 良いよ。


「ぬ、ほのかに温いな。よーしよしよし、いい子だぞ」


 餌でもやりそうな勢いである。


「この子は何を食すのだ」


 え? 餌?

 ……ガソリンのレギュラー。


「それは異国の菓子か?」


 ……。

 そーだよ。


「某も餌付けをしてやりたい。今菓子は持っておるか?」


 いや、持ってない。ごめんな。


「ぬぅ」


 すまん。


「……」


 ……。


「……大家殿、顔色が死ぬほど悪いな?」


 あ、気づいた? 実は今三十九度あるの。


「寝てないといかんではないかー!」


 ああー、運ぶな運ぶな。成人男性俵持ちすな。

 あ、でもこれ楽だな。武士、すまんがこのまま頼む。


 こうして、今布団の中でこれを書いているのである。熱はまだあるが、こればかりは仕方ない。鼻水止まらねぇ。

 ところで、武士はしきりに車の様子を気にしていた。「あれは腹は減らぬのか」「寒くないのか」「風邪は移らんのか」と。

 まだ、車は生き物じゃないと伝えられてない。まあそれも風邪が治ってからでいいかなぁと思うのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新時間…( ゜д゜) お大事にされてください…!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ