デズニー
ツイステが流行っているらしい。
そう武士に言うと、フリフリと腰をひねり始めた。
それツイスト。
いやよく知ってたな。
「ツイステとはなんだ?」
んえ? えーと、私もよく知らないからググるね。
ツイステッドワンダーランドとは、スマートフォン向けヴィランズ学園アドベンチャーゲームである(ニコニコ大百科(仮)より)。
「?」
あ、不思議そうな顔してる。
つまり、その……えーと、ディズニー的な世界観で繰り広げられる……。
「でずにー」
そこからか。そうか、そこからなのか。
ディズニーとはですね、ウォルト・ディズニーさんが作った世界です。
「ほほう、世界とな」
そうそう。
ミッキーマウス知ってるだろ? その生みの親だよ。お父さんだ。
そう教えてやると、武士はキラキラと目を輝かせ始めた。
「なんと、ミッキー殿のお父上か! 某、常々あの者は愛くるしい見目だと思っておったのだ! しかしそうなると、父上もさぞかし愛い姿なのだろうな。黒き大きな耳……長き尻尾……」
そんな血が繋がってる意味のお父さんじゃないよ。
ウォルトさんは人間だよ。ネズミさんじゃないよ。
「ぬぅ……」
残念そうにするな。どんぐりとにぼしを置きなさい。家族総出でご挨拶に伺おうとするな。
「しかし……デズニーはいいな。どんな店に出かけようとも、かのミッキー殿のお顔を見るぞ」
ああ確かに。百均なんかでも可愛いデザインの置いてくれてるよね。
「その中でも、某は青きタヌキが好きだ!」
青いタヌキ? そんなんいたっけな。
ドラえもんじゃなくて?
「捨一!」
捨一……すていち……すて……。
スティッチか。
お江戸感増やすんじゃねぇよ。一瞬わかんなかっただろ、マジで。
「かわいい」
つーかお前あれだろ。リロ&スティッチ見たことねぇだろ。借りてきてやるから見ようぜ。ついでにファインディング・ニモも見るぞ。あとファインディング・ドリーも。
「大家殿、もしやデズニーが好きなのか?」
バカ言え、最近全然追えてないわ。
「好きなのだな……」
そうして、DVDを借りてきて二人でリロ&スティッチを見た。
武士はスティッチの声に驚き、最終形態で半泣きになり、ラストでぼたぼた泣いていた。今はぬいぐるみを要求されている。




