表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
164/682

板チョコ

 はいよ武士ー。

 今日のおやつは板チョコだよ。半分こしようねー。


「某が割る!!」


 え……うん、まあいいけど。


「ぬんっ」


 パキッと音がして板チョコが半分に割れる。

 ……右手側が、左手側に比べて盛大に大きくなったが。


「……」


 チョコと私を見比べて、武士は悩んでいる。多分、どっちを私に寄越そうか考えているのだろう。


「……」


 そして、小さい方を差し出してきた。

 いや、だろうなとは思ったけどふざけんなよ!!!!


「ま、待ってくれ大家殿! 違うのだ!」


 足蹴にしようとした所、何とかチョコだけは死守しようと腹に隠してうずくまる武士が言った。


「チョコがうまく割れなくてな! これを見よという意味で差し出したのだ!」


 はいー? チョコー?

 ああね、確かにえげつないカーブ描いてるね。


「せっかく割りやすいよう、菓子屋はこうした形を作っているというのに……。某、申し訳なくてな……」


 ……。


 別に、申し訳なく思う必要ねぇよ。


「そうなのか?」


 うん。

 チョコの溝ってね、別に割るためのものじゃないらしくてさ。


「……」


 チョコレートを製造するにあたって、どうしても固まらせる工程が必要になってくるんたけどね。分かるかな、表面積が大きい方が固まりやすいんだよ。


「……」


 だから割るためのボコボコじゃないから、気にすることないよ。


「……」


 ……? なんでお前さっきから黙って……。


 あ! さてはお前……!!


「むぐぅぅぅぅ!!!!」


 やっぱりな!!!! うつぶせになってチョコ食ってやがった!!!!


「おほやほほははふひひへあふは!!」


 あ? 『大家殿は博識であるな!』だと!?

 別に博識とかじゃねぇんだよ、Eテレの『デザインあ』見てるだけだよ!!!!


「もぐもぐもぐもぐ!!」


 やめろやー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ