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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
153/677

スルメ

 無印良品でさ、スルメが売ってたんですね。

 それを買って帰ったのですが、これがもうやたら美味くて、ずーーーーーーっと食ってたんですよ。


 したら、今日。


 筋肉痛で、顎の関節が痛い。


「……」


 おう武士よ、笑ってくれたっていいさ。現代日本人が普段、どれだけ柔らかいものに慣れてしまっているかがよく分かる例だ。これを反省し、今後はもっとよく噛んで食べて……。


「……」


 ……武士?


「……顎が……痛い……」



 お前もかーーーーーーーー。



 お前もなのか。


 え、つーかなんで? お前武士じゃん。偏見で申し訳ないけど、いっぱい噛んでいっぱいよく食べるじゃん。

 なんで筋肉痛よ。


「……江戸にも、こんな固きものは無かったかもしれん」


 別にそんなこたねぇだろ……。


「故に、もしまた江戸に帰るのであれば持って帰りたい」


 気に入ってんじゃねぇよ。

 ……ん、あれ? 江戸時代って干物無かったっけ?


「あったぞ」


 じゃあいらねぇじゃん。


「しかし食べ比べたい」


 ああ、うん。その理屈は分かる。

 でもさ、お前今江戸に帰るってんなら、山ほど持って帰りたいもんがあるんだろ。


「あるな。ひとまず、菓子は持てるだけ持っていきたい」


 うん。


「タコ助達も置いていくわけにはいかぬし」


 うん。


「こたつ、くーらー、炊飯器……えれきてるは全部持って行きたいな」


 持ってった所で使えねぇだろ。

 つーかそれ全部私のだからな? 私の生活一切顧みねぇ算段やめろや。


「人の欲望に果ては無いな」


 お前だけだよ。

 清貧を尊しとしろや。武士だろお前。


 ……え、武士だよね?

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