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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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暑かったんすよ

 暑い。


 なんで? なんで急に暑くなっちゃったわけ?


 そりゃ季節側にだって色々事情があるだろうさ。ちょっと今回は冬をあっためておきましたんで夏もお願いしますー、みたいな。神々の事情みたいな。


 それにしたって、何故五月で夏並みの気温だよ。


 どうしたんだよ。


 暑い暑いと愚痴る私に、武士は不思議そうな顔でこちらを見ていた。


「……それほど暑いのであれば、大家殿も月代を作れば良いのではないか?」


 良いわけねぇだろ。


 職場での話題、暑さに代わって一気に私がかっさらうわ。視線独り占めだわ。


 あーーーーー暑いーーーーー。


「しかし、その頭髪では実に暑そうだぞ」


 放っといてくれよ。

 あー、暑い。


「……某が」


 あ?


「某が、剃ってやろうか?」


 ……。


 ……。


 ヤダよ。


「ぬぬぅ!」


 嫌に決まってんだろ。お前絶対坊主かましてくんじゃん。

 あ、でも坊主だと楽は楽だよな。シャンプー代も浮くし、人によってはめっちゃかっこいいし……。

 いっそイメチェンだと思ってやってみるか……?


「承知!!」


 あー、待って待って待って。

 いやほらさ、やっぱ一度剃ったら終わりじゃん。や、終わりじゃないけど、しばらくは伸びてこないわけじゃん。

 となると、まだちょっと未練があるんだよなぁ。


「ぬ。だが某は、出家した大家殿と並んで街を歩いてみたいぞ?」


 嘘みたいな絵面になるぜ?


 武士と坊主が並ぶのか……。その場所だけ時代的に浮いちゃうな。

 そんで、どんな人混みにあってもソーシャルディスタンスされそうだ。


 いや、出家言うなや。


 もうー、やめだやめやめ。私はちょっと散髪予約できねぇか聞いてくるわ。


「髷にすると申すか!!」


 ンなわけねぇだろ!! 引っ込んでろクソ侍!!

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