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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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風が強い

 今日は風が強い。


 風が強かったら、いくらかトラブルがあるもんだ。やれ洗濯物が飛ばされただの、やれスカートがめくれただの。

 え、うち? うちに関しては……。


「マゲがぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 ベランダで洗濯物を干している武士が、頭を押さえてうずくまっていた。


 ……いや、聞いたことねぇよ。そんな弊害。


「ぬぬぅ、大家殿! この風だとどうしても髷が乱れてしまうのだ! 今日の洗濯係だけはどうか代わってもらえまいだろうか!」


 やだよ。お前ジャンケンに負けたじゃん。


「五回勝負にしようぞ!」


 最初は一発勝負だったのをお前が三回勝負にしようって言い出して、その上で負けてんじゃん。


「……話し合いで!」


 つーかそもそもお前が今日の洗濯係だからな? そこんとこ忘れんなよ?


「むぐぅ!」


 ……。


「……」


 ……めっちゃ期待込めた目でこっち見てるなぁ。

 なんなの、ほんと。


「大家殿! いよっ、色男!」


 クソみてぇな太鼓持ちだな。雑なんだよ、持ち上げるにしてもよ。


「金を稼ぐその姿は花川戸の助六もかくや! いよっ!」


 分かんねぇ分かんねぇ。


「……大家殿ぉ」


 ……。


 ……。


 ……いや、やれや。


「ぬうぅぅぅぅぅ!!」


 ほれ、帽子かぶりゃ何とか防げるだろ。


「賢き男よ!!」


 はいよ、どうも。


「では行ってくるぞ! あ、実は先ほど大家殿の下履きを飛ばしてしもうてな。下の植え込みに落ちておるから、取ってきてもらえんだろうか」


 お前!!!!


 ふっざけんなよ、マゲ全部毟んぞ!!!!

 がぁぁぁっ!! ベランダに逃げやがった!! 閉め出すぞこのバカ侍!!!!

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