ホットケーキ
ホットケーキを作っている。
ムーミンの影響かなぁ。何の影響か分かんないんだけど、とにかく私はホットケーキを重ねたいんだよ。
大小なんざ知らん。バランスなんざ知らん。とにかく、ちょっともちもちのホットケーキをアホみたいに重ねたい。
案外崩れないものである。
「塔であるな!」
そうやって焼いては乗せ焼いては乗せしていると、武士が目をキラキラさせて割り込んできた。
え、そう? 塔?
その感覚は無かったな……。五重塔的な?
「うむ!!」
合ってたよ。
まあなんでもいいや。ホットケーキ食べる?
「ほとけ?」
仏だと本当に五重塔になっちゃうよ。
ホットケーキな、ホットケーキ。食べたいっつってたろお前。
「かたじけない! いただこう!」
あーもー、待てってもー。すぐ食べようとするやつがあるかよ。
ちょっと待ってろ、バターとメープルシロップかけてやっから。
「うむ!」
はいはいよ。
ほれできた。
「いたらひはふ!」
食いつきながら言うんじゃねぇ。
こうして武士の腹の中に瞬く間にホットケーキが消えていく中、私はひたすら焼いては乗せ続けていた。まるでわんこそばの様相だが、武士は大変嬉しそうなので良しとする。
……いや、全然作るの追いついてねぇな。私の分も残しとけよ武士。




